キャリアアップ研修の本来の目的とは?
現在も保育園を運営する各法人さんでは、
自社の職員が保育士等キャリアアップ研修を受講できるよう、
時間と費用の確保に尽力していることと思います。
ここで、キャリアアップという言葉の意味をみてみましょう。
キャリアアップという語句の意味としては次の3つが挙げられます。
1. 専門性を高める
→現在の職種で、より高度なスキルや知識を習得すること
2. 異動や転職をする
→より責任のあるポジションや、自分のスキルを活かせる部署へ異動したり、他社へ転職したりすること
3. 資格や学位を取得する
→業務に関連する資格や学位を取得すること
保育士等キャリアアップ研修のねらいは、
何より1の「専門性を高める」ことであり、
修了証を得ることは、間接的に3を意味するでしょう。
そして社内で研修を企画する目的もまた、
職員のキャリアアップを図ることであり、
職員一人ひとりの「専門性を高める」ことが第一になると思います。
しかし多くの研修担当者の方は、
保育士の専門性について「保育に関する知識と技術」を想像することでしょう。
私個人としても、保育関連の専門知識・技術の学びは、
とても大切なものであり、
この職を続けていく限り、深めていけることだと考えています。
それと同時に、保育は他者との協力関係、信頼関係が必須の職業ですから、
保育力を発揮する土台に、「コミュニケーション力」があるように思えてなりません。
保育所保育指針に示される「職員間の協力」とコミュニケーション
保育所保育指針を読むところ、
直接「コミュニケーション力」とは書かれていませんが、
次のような箇所に「職員間のコミュニケーション力」が
「専門性の一部として読み取れる」内容が書かれています。
・第5章 職員の資質向上
「職員が互いに協力し合い、チームとしての力を発揮することが求められる。」
→これは園内のチームワークを明確に求めている記述であり、
協力し合うためには情報共有・相談・合意形成といった職員間のコミュニケーションが不可欠です。
・第6章 保育所の運営管理
「組織的な保育の展開を図り、職員間の連携を密にすること。」
→こちらは管理運営の観点からの明記で、保育実践を組織で支えるために、
職員間の連携(=コミュニケーション)が必須であると示しています。
研修担当者さんが保育所保育指針を読み込んでいるかは、
個人差があるようですね。
指針に書かれていることを認識して研修計画を立てている方と、
そうではないが、
経験的に「コミュニケーション力」の必要性を痛感している方と、
どちらもいらっしゃるようです。
いずれにせよ、社内の研修計画を立てる際に、
「コミュニケーション力を高める研修」を盛り込む根拠として、
保育所保育指針に記されている内容を示すとよいのではないでしょうか。
ここまではまとめると、
・保育士のキャリアアップの第一に「専門性を高める」という意味があり、
・その専門性には「保育の知識力・技術力」だけでなく、
・職員間における「コミュニケーション力」が含まれる、 と定義することができます。
実際の法人での取り組み事例
あなたの法人では、「職員間のコミュニケーション」についての研修を、
定期的に実施されているでしょうか。
ある法人では、保育に関する研修を長年行い続けた結果、
「職員間のコミュニケーション」が最優先だと気づくに至りました。
また、ある法人では、初めて研修を導入する時点で、
「職員間のコミュニケーション」を最優先だと位置づけ、
2~3年継続して全員が受講したのちに、
保育に関する研修を増やしたら、学びの成果が期待以上だったことがありました。
限られた予算と人員で優先すべき研修とは?
キャリアアップを支援するために、
もっとも適した選択は何でしょうか。
予算と人員に限りがある中で、
どんな選択をするとよいでしょうか。
ここは各法人さんの現状にゆだねられるところですね。
正規職員全員が3年以内に10回以上、
コミュニケーション研修を受講する制度を持っている法人さんもあります。
せめて年に1回だけでも、せめて管理職だけでも・・という位置づけで、
コミュニケーション研修を実施している法人さんもあります。
研修担当者の「意図」が法人の未来をつくる
いずれにせよ、研修担当者さんの「意図」が大きく影響しています。
計画を発案するあなたの「意図」は、会社の人財育成に価値を与えることができます。
ぜひ研修計画の一部に「コミュニケーション力」を高める研修を盛り込んではいかがでしょうか。
その際の内容、回数、実施時間など、
詳しいポイントを、引き続きこのコラムに書いていきます。
よい研修計画の立案にお役立てください。
→無料相談はこちらからどうぞ