Q:これまで中里先生のどんな研修を受けてきましたか?
はい、これまでに中里先生の研修で、傾聴技術やアサーティブコミュニケーション、アンガーマネジメントといった対人支援に関わる内容を学ばせていただきました。また、講師としてのスキルアップ研修にも参加して、自分自身の伝え方や構成力を高める機会をいただいています。どれも、今の自分の支援スタイルや、日々の関わりに直結している実感がありますね。
Q:その中でも影響が大きかったのは、どの研修ですか?
一番影響が大きかったのは、傾聴技術の研修です。
いまの私があるのは、あの研修での学びがあったからこそだと、本当に思っています。受容、共感、ねぎらい——これらをもうこれでもかっていうくらい、徹底的に訓練させてもらいました。みんなで傾聴の練習を繰り返して、自分の関わり方を深く見つめ直す機会になりました。
たとえば、研修を受ける前は「私はちゃんと傾聴できている」と思っていたんです。でも、実際に自分のやり取りを録画で見てみたら、思った以上に自分がしゃべっていたんですよ(笑)。
それまで「聴く」という姿勢は、自然にできているつもりだったんですが、他の人の傾聴する姿を観て、「ああ、すごく丁寧に聴いてあげてるなあ」と感じることがあって。
「こうやって聴くと、相手は本当に安心できるんだな」って気づかされた瞬間でもありました。
それ以来、支援の現場でもプライベートでも、「聴く」ことが私の土台になっていると実感しています。
Q:学んだことで、実際に変えてみたことは?
そうですね、それまでも人の話をうなずきながら聴くという姿勢は身についていたと思うんです。
でも実は、「うなずくだけ」ではなくて、相手の言葉を繰り返したり、要約して返すということは、あまり意識してやっていなかったんですよね。
そこがすごく大事なんだと気づいてからは、かなり意識的に取り入れるようになりました。
特に、施設長として職員と1on1で話す機会が多いので、その中で活かされていると感じます。
実際に、相手の話を繰り返して返すようにすると、「そうなんです!」っていう共感のリアクションが返ってくるようになったんです。
そうやって対話の中で信頼を積み重ねていけたことが、上司としての信頼感につながったのではないかと思っています。
今のフリースクールでも、職員から「受け止めてもらえる」っていう言葉をもらったことがあって。
中里先生の研修で学んだ「受け止める」と「受け入れる」の違いが、自分の中にしっかり根づいていると感じます。
それからもうひとつ、自分の心の中の反応に気づけるようになったというのも大きいです。
たとえば、誰かの言葉にちょっとモヤっとしても、すぐ反応せずに「いったん受け止めよう」と意識できるようになりました。
そして後から、「自分は何にモヤっとしたんだろう?」と振り返ることで、感情のセルフチェックができるようになったんです。
この感度は、研修を通してだんだん高まってきたものだと思います。
Q:伝え方の研修も受けていますが、そこではどんな学びがありましたか?
はい、アサーティブコミュニケーションの研修ですね。
その中でとても印象に残っているのが、「伝えたつもりでも、相手に伝わっていなければ、それは“伝えた”ことにはならない」という言葉でした。
それを聞いて、「ああ、本当にそうだな」とハッとしたんです。
それ以来、相手が受け取りやすい言葉を選ぶという意識が強くなりました。
特に施設長という立場では、言いにくいことを伝えなければならない場面も多くあります。
そういうときに役に立っているのが、研修で学んだ“クッション言葉”です。
たとえば「ちょっと言いづらい話なんだけど…」とか、「耳の痛い話かもしれないけど…」と、前置きを入れることで相手の受け止め方がずいぶん変わるんですよね。
それから、マイナスなことだけを言わないというのも意識しています。
「いつもありがとう」とか、感謝や良いところもしっかり伝えたうえで、課題を伝えるようにしています。
いわゆる“サンドイッチ話法”です。プラス、マイナス、そしてまたプラス。
最後には「これからも期待しているよ」という前向きなメッセージで終えるようにしています。
もともと、相手のマイナス面を指摘することには苦手意識があったんですが、
こうして言葉の工夫を学んだことで、前よりずっと伝えやすくなったと思います。
Q:そのほか、中里先生の研修で得られた気づきや変化は?
ああ、それはもう、すぐに出てきます。
「役割と自分を分ける」という言葉です。これは本当に大きかったですね。
当時、私は事業所内保育所の施設長をしていたのですが、
批判的なことを言われると、どうしても“自分自身が否定された”ように感じて、
ものすごく苦しくなっていたんです。
でも中里先生の講義でこの言葉を聞いたときに、
「うわーっ、本当にそうだ!」って、体にストンと落ちたんです。
「ああ、私は“私”として責められているんじゃなくて、
“施設長としての役割”に対して言われているんだな」って思えたとき、
すごく楽になりました。
あのときこの言葉を知らなかったら、
たぶん、ずっと引きずって落ち込んでいたかもしれません。
本当に、あの言葉は今でも自分を切り替えるお守りのような存在です。
だから、私にとってあのフレーズは宝物なんですよ。
そして今では、周囲の人にもこの言葉を伝えています。
「これは私の恩師から教わった言葉なんだけどね」って、
悩んでいる人にそっと伝えてあげるようにしています。
それからもう一つ、大きな学びがありました。
アンガーマネジメントの研修で教わったことです。
中里先生から、
「怒りの裏には、別の感情が隠れていることがあるんですよ」
って言われたときに、ものすごく腑に落ちたんです。
たとえば、寂しさ、悲しさ、孤独感…
そういった気持ちが、怒りという形で現れることがあるんだと。
それを知ってからは、
目の前の“怒っている”という表情だけに振り回されず、
「この人、本当は何に傷ついているのかな?」って、
その奥にある気持ちを読み取ろうとする姿勢を持てるようになったんです。
これは傾聴の学びとつながっていると思います。
実際、保護者との面談で少し興奮気味な場面でも、
「本当はこういう思いがあるのではないか?」と
そっと質問を重ねて掘り下げていくことができるようになりました。
一方的に決めつけるのではなく、
問いかけを通じて相手自身が“本当の気持ち”にたどり着けるようにする。
そのとき、相手が「ああ、これが言いたかったんだ」って
少しホッとしたような表情を見せてくださることもあって、
「話せてよかった」って思ってもらえる瞬間が生まれるんです。
ほんとうに、繰り返しになりますけど、
あのとき中里先生の傾聴技術の研修を受けていなかったら、
今の自分はなかったと思っています。
今でも別の研修に出ると、
「あ、これってあのときの学びの延長なんだ」と、
原点に立ち返るような感覚になることがありますね。
Q:中里先生の研修の雰囲気、印象は?
うーん…もう、なんとも言えない安心感がありますね。
それはやっぱり、受け止めてくれる姿勢からくるんだと思います。
中里先生がいらっしゃるだけで、空気がふわっとやわらかくなるような感じがあって。
穏やかで、あたたかい雰囲気なんですよね。
それと、中里先生が話してくださること、勧めてくださることって、
なんだかすっと自分の中に入ってくるんです。
無理がないというか、「あ、それならやってみようかな」って自然に思える。
それもやっぱり、安心感がベースにあるからだと思います。
ああいう雰囲気を持っていらっしゃる方って、なかなかいないですよね。
Q:最後に一言かけるとしたら?
そうですね…。
もし今、なにか課題や悩みを抱えているとしたら、一度、中里先生に相談してみてほしいです。
というのも、先生って、言葉の選び方や言い換えが本当にしっくりくるんですよね。
「そうそう、それが言いたかったんだ!」っていうようなピタッとくる表現をしてくださる。
それが自分の中にストンと入ってきて、ハッとさせられることが多いんです。
だからこそ、ただ相談するだけでも、一歩前に進むきっかけになると思いますよ。